午前5時過ぎ。まだ真っ暗な中、灯台の灯りに照らされた地磯を確認する。
ケミホタルの明かりだろうか?緑色の光が二つ見える。
ここで今日の釣りをすることを決め、車を駐車スペースへと移動し装備を整えて釣り場までの約15分の
道のりを歩き出す。ただただ不安定な大きめの玉石の上を、転ばないように黙々と歩くのである。

 2005年3月20日。福岡県西方沖地震が起こったあの日に初めてこの地磯に来て以来、まともな釣果を得
たことは無い。

それでも、ここに通ってしまうのは、きっと何かを期待させる物があるからだろう。
 
 
息を切らせてたどり着いた時に聞く、磯に打ち付ける波の音。
一点、遙か上空の灯台よりスポットライトを浴びた浅瀬の鉄柱。
振り返ると白み始めた海に浮かぶ的山大島にまで至る島々のシルエット。
目の前には水平線しか見ることが出来ず、後ろを振り向けば遙か断崖の上に佇む白灯台。

な〜んて、そんな『約束の地』が、簡単にあるわけも無いのである。
とにかく釣り場に着くまでがしんどい!その上、釣り人が多いから、死ぬ目に会って釣り場に到着したら
釣りする場所が無い!
・・・そんな事が実際に起こりかねない場所でもある。

先日12月9日に、今年の竿納めとして出向いた時にも到着したときには釣り座はすべて確保されていた。
このまま、引き返して他の釣り場に移動しようと思っていたところ、親切な釣り人に一緒に釣りましょうと声
を掛けて頂き、非常に助かったのである。せっかく確保した場所を見ず知らずの他人と共有するなんて、
なかなか出来ることではない。
本当に感謝するとともに、私も逆の立場になったら同じ事を出来るようにありたい。
 
 
感謝しつつマキエを作り仕掛けを作る。仕掛けはいつもの全層仕掛けだが、ウキはKz/R-SHOT・L-00を
初めて使用する。ウキの下はJクッションS(J5)を固定しサルカンを介して1.7号のハリスに鬼掛け競魂グ
レ6号を結ぶ。1.7号のハリスはこの地磯に敬意を表して、競魂を使用するのは、スレバリにして手返し
良くするためである。(本当は衣服に刺さったときに簡単に外れるようにだったりもする・・・)

足下は真っ白なサラシ。釣り座を波が洗うことは無いが、大きな波飛沫が時折頭から襲う状況である。
さて、この様な状況のもとでウキL-00を使用するのは如何なものか?
この様な状況では仕掛けに負荷をかけて安定させることを主眼とすべきではないか?全層よりも半誘
導で?・・ってな考えが頭をよぎるが、やっぱり初めてのウキを試してみたい気持ちに勝つことは出来ず、
結局、いつものスタイルの全層仕掛けでハリスにもノーガンで、なんとかなるさ釣法スタート。
午前7時前に第一投を投入したのだが・・・どうにもならんがな!このサラシは!しかも5分に一回は頭
から飛沫かかるし・・寒っ!

周りを見渡しても皆さん波飛沫をかぶりながら頑張ってる。まあ、先程も書いたように波自体がはい上
がってきてる訳では無いので危なくは無いのだが、いい大人が揃いも揃ってカッパびしょ濡れで竿振っ
てる様子は、釣りしない人から見たら異様な光景なんだろうな。でも、やってる本人達からするとある程
度荒れていた方が期待が持てたりするのである。
 
 
それにしてもウネリで釣りにくいので、ハリスにG5の口オモリを打つ。北西からの風があるものの、なんとか
やれないことはないがそれよりも気になるのは、足下から沖にでるサラシである。
20m程先までは勢いよく 払い出していくのだが、そこで立ち往生している雰囲気。マキエは足下にしか入
れず、仕掛けはサラシの根本、左右の脇、先端と入れて探って行く。なんとなく道糸を引っ張るのはアジゴ
にトウゴロウイワシ、コッパグロ。「こりゃ仕掛け浮きまくっとるなぁ」ってな感じで次々とガン玉追加するとベ
ラが食ってくる。「入りすぎやがな!」と1人ツッコミ入れるが面白くない。なんせ魚が小さいのとウネリで仕
掛けがしっかり張れていないためであろう。全層特有の魚が餌をくわえたゴツゴツとした手応えや、道糸が
ピンと張ってくる当たりが分かり辛い。「お!急に本流が走り出した!」と喜んだらトウゴロウイワシが餌食え
て走ってたなんて時には、涙チョチョ 切れもんである。

期待のR-SHOTはものの30分で環付ミドル00にスイッチ。さらに仕掛けにテンションをかけるために環付
遠投0にチェンジしているものの、釣果としては堂々巡りに陥っていた。コッパグロは釣れるものの、サイズ
は20cmにも満たない。「どうするべぇ」と思っているうちに海は満潮潮止まりを迎えた。

日の当たる岩陰に潜り込み、朝の冷え込みと頭からかぶる波飛沫とで冷えた体を暖める。
 
     
 
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